劣等生魔王リュウナの勉強をヒロが見てあげるほのぼの回。
アレ?記憶以上にイチャイチャもストーリーも面白いぞ???っていうか多分、この巻でやりたい事のほとんどが終わっちゃってるのでは?ってくらい色々要素が詰め込まれている気がするぞ。
いつものコメディ、ではあるけれど、
この巻まで来るとヒロのリュウナへのメロメロっぷりの重症度も深刻になっており、また彼の成長も感じられて感慨深い。そして相変わらずな、
微笑ましくも魔王と勇者であることを忘れない愛の伝道師作家の手腕。
静かに勉強できる場所を求めてフリトに電話するが、ヒロの天然と重症っぷりでただのノロケになっているくだりはよーーーーく覚えていたが、記憶より酷かったwwwこんなもん試験勉強中に聞かされるフリトに同情するわwwww
微笑ましい試験勉強も、他の奴らの邪魔が入って全然出来ないし、またヒロがリュウナに甘すぎて、彼女が寝ちゃうと起こせないとかバカみたいなことするので結構大変。(その甘々っぷりは親友のフリトも呆れるほど。)そんな中、有料自習室の為に島を出て、ちょっとしたデートをするくだりが微笑ましい。
冒頭で言ってるように、リュウナとヒロはあくまでも魔王と勇者。だから、一般人の中に紛れて普通の学生としてデートが出来た、こんかいのお出かけのくだりは、例えるなら魔王学校版ローマの休日のようなもの。ローマの休日よりずっとコミカルで微笑ましいけれど、やっぱりお互い守るべきものがあって、全てを投げだして恋人になるという事は出来ない。そっからの実技試験でお互いとぶち当たってしまうくだりは、コメディオチがつくとはいえ、あくまでも八百長を許さないリュウナといい、割とやってる事言ってる事はシリアスで心に残る。
っていうか何気に二人の恋愛問題(彼らが魔王と勇者である限り、結ばれるってのが難しい)も、四天王のサキがサラッと解決方法言ってるんだね。リュウナが魔王として落第しちゃったら、外部から魔王の旦那もらわないといけないけど、リュウナがちゃんと魔王の資格をもらえたなら、旦那さんは一般人でも勇者でもいいって。流石にそこまで覚えてなかった。
リュウナが落第しても、ヒロが全てを投げだして魔王として婿入りするなら一見問題は解決するように見えるんだが、ヒロはあくまでも勇者を目指すという点を崩さないし、またリュウナも今回、「勇者だからヒロが好き」と言っている。
だからこの立場の違う恋を成就させるには、あくまでもヒロとリュウナ、それぞれが違う分野で頑張らないといけない。
相変わらず、コミカルながら泣かせる構図になっている。やっぱり私にとっては珠玉の名作ラノベだな、これは。
リュウナがおいしそうにご飯食べてるの見て、思わず穏やかな気持ちで好き、って言っちゃったけど、とても穏やかな気持ちだった事、そしてこれまでのドタバタでレベルが上がってて、とうとう好きと言っても言葉が発動しなくなったことがとても感慨深い。いや、おせえよ!ってツッコミを入れるのは簡単だけど、私はリュウナと一緒に勇者ヒロに惚れた女なので、素直に「良かったねえ」って言いたい。
その後の公開処刑みたいな、衆人環視でのイチャイチャも可愛いんだが、この思わず好き、って穏やかな気持ちで言っちゃった、しかもいつもみたいにドタバタが発動しなかった、ってのが一番心に来たな、私は。夏緑先生は本当にこういうのが上手い。
恋というと激しい激情ばかりをピックアップされるけれど、こういう何気ない瞬間に相手を穏やかに愛しいと思う事、それもまた大切だと思うのよね……。