身内とメールしてて、「花さか天使テンテンくん」の話になって、好きだったシーンを熱く語ってから、「あ、これ、私にとってのグルグルその2(優しすぎて忘れてた、忘れたくなかった作品)」だな??? ってなって、AmazonKindleで今一巻無料だったので読んだ。

はい、グルグルその2(優しすぎて忘れてた、忘れたくなかった作品)でしたね!

花さか天使テンテンくんのストーリーは、もらえるはずだった才能の種・サイダネをもらえなかった何やってもダメなのび太系男子のヒデユキくんが、ドラえもん系天使のテンテンくんと一緒に色んなサイダネを試しながら、本当の才能を探していく物語。

読んでた時はテンテンくん割と酷いことしたよなとか、ヒデユキ君大変だなぁとか思ってたけど。でも無事サイダネを貰ってから生まれた人達も、実はそんなにヒデユキ君達と才能を育てる厳しさの条件って変わらないんだよね。そこはもう一巻の時点で既にはっきり語られてる。

なんなら現実の自分達も、テンテンくんの世界の人達と条件は変わらない。テンテンくんの設定は今見てもすごく凝ってるけど、それは単に漫画を読んでる現実の読者もそうな事を明確にわかりやすくするためだけにあるというか、作者が自分なりの世界を作るためにだけある感じじゃないというか。天使とか悪魔が出て来るメルヘンドタバタギャグなのにね。

ヒデユキとテンテンコンビってまんまドラのびコンビだけど、才能は何一つないが心優しいヒデユキと好き勝手動き回るテンテンは亜流に留まらない良さがある。

1巻の買い物回、好きだなぁ。ヒデユキ君ってすごく優しいんだよね。ヒデユキのママが「ヒデユキのいいとこはいっぱい知ってるけど、自慢しないだけ」って自信もって言うのわかる。最後も結局、才能もなにも関係ないのにヒデユキ君は褒められた。

昔、ヒデユキ君の本当の才能は優しさなんじゃないか。って思ってたけど、オチも違えば、作者描きおろしのその後も正解は違った。

でも多分私が子どもの頃考えた彼の本当の才能はむしろ、この話の核心をついてたんだよな、多分。だって買い物回で彼は才能を抜きに褒められたわけで。

それって、別に何かしらの才能がなくたって人にはいいところが沢山ある、ダメでも生きてていいって事なんだよな。

この漫画、変な書き方をしたら才能至上主義みたいになると思うんだけど、小栗かずまた先生の素敵なところは、ヒデユキくんを通して読者に「ダメ人間に見えてもいいところってたくさんあるし、生きてて良いんだよ」って伝えてくれることなんだろうね。

身内とメールしてて名シーンが一発で明確に出て来るくらいは覚えてた作品だが、やっぱりこれも優しい作品過ぎて記憶の隅に追いやられていたな……。どうして私のカバンから、本当に大事にしたい優しい作品は消えちゃうのかな……。

最近漫画買い過ぎだけど……もういいや、グルグルの二の舞(買い戻す機会を逃し続け、十年以上特定出来なかった)も嫌だし……。

昔は最終回が納得出来なかったが、今ならわかる。すごくよくわかる。この漫画、メルヘンに見えて基本設定が現実と何もかわらないからな。

大人が読んでも子どもが読んでも深くて考えさせられる、本当の意味での子ども向けみたいなテーマの作品よな。
2024/07/10(水) 19:18 作品感想 PERMALINK COM(0)
デリダさんの、「ニケがグルグルをどこかで恐れて深く関わろうとしなかった」って指摘。まあ内心あんな変な魔法怖がるのはしょうがないし、ニケは普通にグルグルを頼りにしてるじゃん。って思ったけど。

第1章ラスト、昨夜村人達が魔物(モンスター)を見たというけど、それはククリちゃんがグルグルを失敗した結果出た変なものだった事がわかる。今回初めてニケはククリにグルグルを見せて貰ったわけだけれど、この頃まだ未熟だったククリは当然また失敗して、一番大事なニケとグルグルの初めての出会いで、恐怖を植え付けちゃった。

それで、最後もニケは、村の魔物の噂は失敗グルグルが出した変なものだけど「やはりグルグルは魔物(モンスター)であった」って心の中で思ってるんだよね。デリダさんの「どこかで恐れて」ってのは多分此の時のトラウマがどうしてもどこかに残っていたってことかな。

でもコレはしょうがないよね、ニケはガチで心が勇者だから、冒険に出てすぐ勇者として冒険者として才覚を現すけれども、グルグルを初めて見せてもらった時のニケは、ホントにただの村人の少年。

ファースト・コンタクトの失敗っていうのは、結構致命的な部分がある。例えば気になって初めて手に取った作家の作品が致命的に合わなかったら、他全部が面白かったとしても次を手に取る確率は減るし、二度と手に取らないかもしれない。

人と人が出会うのだって、もし初見でいきなり悪口をぶつけられたら、第一印象をひっくり返すのは難しいだろう。

そんな感じで、一緒に冒険していくうちにククリごと頼るようになったグルグルも、多分無意識に植え付けられた、まだ村人だった少年の無意識のトラウマにはちょっと勝てなかったんだね。ククリもニケも未熟でお互い不幸だった、無理もない。

アニメスタッフが流れ変えて高速消化状態でも、ニケが最初にグルグルの変な失敗魔法に巻き込まれて持ち上げられるくだりを1話にねじ込んだ理由がわかった……。VSカセギで使ったとかげのしっぽが初邂逅だったら、普通にカッコいい頼れる魔法って印象になって、アラハビカのデリダさんの「グルグルを心のどこかで恐れる」という指摘がおかしくなる。

アニメに城原作にしろ、どうしてもニケは初戦闘前にグルグルの失敗を目の当たりにして、トラウマを作っておかないといけないわけが。

アニメのアイキャッチが、ニケがククリと一緒に魔法陣を覗いてからポワーンと何かが起こる。演出、アレもククリの心を覗いて触れて、冒険して……みたいな。

アニメスタッフまで衛藤ヒロユキとかいう存在ごとヤバイネアカ狂気作家のミステリーに参加してて草。

こんなにわかりにくい話を、冒頭の光射す美しい出会いと、とにかくニケがククリの手を引いて走っていくのが強調されるOPムービー2曲、そしてラスト、ただのニケがただのククリと旅に出るエピローグと、間違いなく何もかも、衛藤先生が本当にやりたい、言いたいことをわかりやすく表現している。

漫画はもうしょうがないとして、アニメまでグルグル以上に好きなものに出会うかわからんくてワロス。
2024/07/10(水) 08:43 グルグル考察 PERMALINK COM(0)
ククリちゃん、敢えて悪い言い方すると、ニケが勇者として渡されたククリって、「ククリルク」でオババが言ってるように対魔王ギリ用の「極秘の魔法兵器」で、すごく恐ろしいものなんだよね。

でなくても、いくら可愛くても、本当に初対面の男であるニケを、あんなに無心に慕って来るってのは、やっぱりいくら美少女でも色々と怖い子。ククリルクで、実はククリはニケを窓からこっそり眺めているのだが、流石に覚えていないだろう。

あまりにグルグルがわかりにくいから、作品と作者への無礼を承知の上衛藤先生が己の優しさと物語の最上級の美しさで隠した事をはっきり突き付けるんだけど。

ククリってあまりに無防備な美少女兵器過ぎてさ、ニケがドクズ野郎だったら適当に利用されてヤリ捨てられて、魔王退治終わったら捨てられてて何もおかしくないんだよ。

↑の物言いが全年齢少年誌として酷過ぎるにしても、その「全てを利用されてしゃぶりつくされるかもしれない危うさ」に、もう少し遠まわしにでも触れられていたなら、全く手を出すそぶりもなく(アラハビカでほっぺがやっと)自分の意志でククリを守るためだけに戦い続けてきたニケどれだけ心の美しい、愛の深い少年なのか、ギャグに惑わされず皆が理解出来た事だろう。

ニケに性欲が一切ないならまだこの見返りのない計審的な愛もわかるんだけど、ニケは普通に性欲あるんだよね。冒険当初は綺麗なお姉さんにデレデレだし、ククリの事もHな目で見てる。これもギャグチックだからわかりにくいけど。

対魔王ギリ用の「極秘の魔法兵器」で、すごく恐ろしいものを勇者に託すというオババの認識に対し、ニケがノコギリ山にさらわれたククリを助けに行く時なんて認識だったかっていうと「オババに託された大切な子」なんだよね。

こうして言葉だけで抜き出せば、既にニケが無印1巻からどれだけ壊れた光の勇者で王子様かとても分かりやすいと思うが、実際に漫画を読むと、ここら辺はギャグにかく乱されまくってるのでかなりわかりにくい。ニケは本気で言ってるんだけど、ギャグの空気でふざけてるように見える。

ギャグにさえ惑わされなければ(ほぼ不可能)「ククリルク」が載ってるグルグル2巻までで、この酷い物語がどれだけニケと作者の美しい心で、誰もが笑えて、少年少女の微笑ましい恋物語として楽しめるように変えられているかは、ちゃんとわかるようになってる。ほぼ不可能だけど。

グルグル恋物語ミステリーに比べちまえば、ひぐらしの正解率1%の売り文句なんて嘘っぱちだと思う。グルグル恋物語こそが、新の正解率率1%ミステリーだと思う。30年以上もコンテンツが続けば流石にもう誰か気づいてるだろうけど、多多分私、かなり上澄みな方だと思う。

だってだってニケククが大好きな人すら、ギャグとあまりの光の意志で、ニケの恋心がわかりにくくて困惑しまくってる。ニケは出会った瞬間からずっと、ククリへの愛を表現し続けてるのに。

私が国文学科で学んだ事って何にも人生に役に立たないと思ってたし普段忘れてるレベルだったけど、立ったわ。生涯唯一の、替えが効かない恋物語を読み解くために、バカなりに国文学科で勉強して、下手なりに創作して、芸術家でミステリー作家で、二度と出会えないであろう恋物語メルヘン作家である衛藤先生の真意に近づこうとしたんだ。今ならハッキリそう言える。我ながらギップル来そうな事言ってるけど。私にとっては本当にそうだった。こんなことを言ってやって誰かに笑われたとしても、先人自体はもう既にいるのだとしても、自分で子どもの頃好きだったのに忘れかけてた作品の真意で挑めた。って言うのは、友達も恋人も職歴も貯金もなく、その事について深く考えないため二次元にのめり込んでばかりだった私にとって、今まで生きてきた意味だ。

確かにやり捨てだったら最悪だけど、ニケは13歳で相手を娶るような覚悟でククリという女の子に挑んでいるのだから、とっととククリに本気で手を出してしまえば良かった。でも出なかった。ニケがどこまでも光の勇者だから。

だから、グルグル2で、ニケが「ニケベスベス」というスケベな魔物になる代わりに、ククリの月を食べる竜になる呪いをかけられて、夜はククリの出す月を食べるってのは、純情で美しい心を持つニケと作者にしてはかなり迫った描写なんだと思う。

呪いを受けている間、本来のニケの意識は眠っているんだけど、ニケは恋のキューピッドのおじいさんの助けを借りて、「夜に天使からリンゴ(の形の月)」を貰ったという事を、(夢だと思い込んでいるが)、思い出す。で、その事を「欲しかったものに手が届いた」て言ってるの。

リンゴってホントそのまんまじゃん、禁断の果実とかそういうやつじゃん。っていうかちょいちょい、月が食べ物の形してる時点で気づけばよかった。

つまり、カッコイイ竜になるから皆騙されるけど、ニケは呪いを和らげてもニケベスベス、スケベな魔物のまんまなの。

夜の間、ククリちゃんの月を食べるってのは、ククリちゃんを食べてるも同義なの。普通の漫画なら夜にククリちゃんとHしてるの。

今思うと、花の国編で子育てしてるニケククにレイドがショックを受けるのわかる。あんまり仲がいいから、知らんうちにHして子ども産んだんだと思ったんだよね、レイドは。

実際はただ花の国の女王を育ててるだけだと知ってレイドは安心するんだけど、「これがもし「Gファンタジー」ならどうなっていたか…」って言ってるから、つまり「グルグルの掲載誌がGファンタジーくらいの年齢向けの雑誌だったら、既に冒険の中でHして子ども産んでてもおかしくないほどレイドには仲良く見える」って事。

完璧な彼氏であるニケに欠点があったとしたら、「本当に愛し合っているのに手が出ないほど優しい、或いはウブ」であることと、アラハビカ編でデリダさんが言うように、「グルグルの魔法に惹かれながらもこわいものだと思い深く関わろうとはしなかった」こと。だからククリちゃんはデビルククリになっちゃった。せめて身体(キスやハグでいいから愛する勇者様に手を出される)か心(グルグルをもっと深くニケが知ってくれる事)のどちらかの欲求が満たされていたなら、ククリちゃんはデビルククリにならなかったし、そもそも「運命の女神」も出てすら来なかっただろう。

冗談抜きで就活大失敗してやってる刺身たんぽぽ的クソバイトしてる場合じゃねえわ。もう4日ほとんど徹夜してるのに、自分の書きたい事をここに纏める時間が足りない。

他人にオタクくさいって笑われても、時々極端に読み違えて失敗しても、なんとなく気持ち悪がられても、ずっと作品や作者の真意を読み取るような作品の読みをして、どこかに書き記して置くのが好きだった理由、考えて見たら国文の基本授業を一生自分でやってるようなものだな。自分だけの楽しいオタクライフに役立ってるじゃん。なんかオタクとして自信がついたわ、ありがとう衛藤先生、グルグル。国文の純文系作品読解系オタク、純粋に恋物語に夢中になる女読者、下手でも創作する創作者、ミステリーを夢中になって読み漁る読者、どの方面の自分からグルグルと衛藤先生を見たとしても、あなた達ほど尊敬して平伏する作品と作者になんてきっと出会えない。本当に自分の中でしか役立たない自信だけど、この謎解きに自分で挑めたことで、何十年も生きて来てやっと、自分に自信が持てた。本当に感謝してもしきれない。

ああそうか、いつもククリちゃんがニケとの思い出を回想する時、一緒にたくさんの冒険をしたのに、何故かジミナ村で初めて「なー魔法陣ってどうやるんだ?いっぺんやって見せてよ」ってニケが言った事ばかりなのは、グルグルっていうのはククリちゃんの心そのものだからなんだ……。だから初見で、笑顔で、本当になんの気もなしに、魔法兵器であり、ただの女の子である自分に、勇者様から触れてくれたこと以上に嬉しい思い出は、どんなに一緒に思い出を積み重ねても、ないんだ……。

普通、これだけ読解したら、良くも悪くも読む印象って変わっちゃうのに、何も変わらない光の物語だからヤバいな、グルグル……。どんな読み方をしたって、裏の真相が真っ黒だって、ニケとククリが二人で冒険して楽しかった事、二人がお互いを大好きな事、笑ってしまうギャグさえも、何も変わらない。

真相に行きついても、何か大きなわかりやすい衝撃や報酬があるでもなく、ただただニケとククリの恋と冒険の想いの美しさだけが増す。

真相に行きついても、楽しい冒険ギャグ作品なのは何も変わらないから、ここまで来る読者が全体の読者数に比べたらほんのわずかな事が寂しいしもったいないと思う。でも衛藤先生は「グルグルはウンコしながら読むギャグマンガ」って言ってるし、多分本当にそうであって欲しいって思ってるんだよね。酷いなあ、こんな、国文授業でも卒論でもした事ない高難易度の読解させといてさ……。

グルグル2の、世界中の宝石を求めて、最後は空の月を欲しがった宝箱の中のおじいさんだって、こんなに綺麗なもの見たことないと思う。まあ宝石のおじいさんはその綺麗なものの片割れニケに屁ぶつけられたけど。ホントになんなの?この漫画。屁と純度の高すぎる少年少女のメルヘン純愛一緒くたに同じ漫画に入れるの、この世で衛藤先生だけだよ。

2024/07/10(水) 04:53 グルグル考察 PERMALINK COM(0)
正直、兄貴分×弟分とかのコンビが好きだったのも、っていうか自分なりに二次創作のうっ憤を晴らそうと思ったキッカケのカップリングである円堂×たまごろうが好きだったのも「ちょっと妹みたいな女の子に魂から惚れていて、自分の全てを捧げて優しくする勇者ニケ」の面影を見ていた、二次創作物に押し付けていただけ。って自分の本当の気持ちを特定出来た今だと、へっぽこアルジェンとネコな「妹分」のが良かったなと思った。

実際へっぽこアルジェンを創作する時、グルグルをすっかり忘れていたにもかかわらず、無意識に強く要素として出たのが、円堂さんのキャプテン、チームリーダー的要素や、たまごろうの「兄貴の背中を見て強くなる」要素でもなく、そもそもサッカーやスポーツをする話でもなく、「何もかも魔法陣グルグルの要素だった」ってのがもう軽くホラーなんだけどさ。

作りながら、どうしてファンタジー世界の話になったのかは、私イナズマイレブンとやぶのてんや先生の描いたスポーツもの以外はスポーツものは読むのむしろ苦手な方で、昔から、文芸サークルで小説書いてた学生時代から一次創作はファンタジーばかりだったって事で自分で納得してたんだけど。運動音痴でむしろスポーツ観戦もスポーツ漫画も実は苦手な方ってくれば、当然、一次で描く発想にはいたらないし。

それにしてもファンタジーだから魔法使いは当たり前として、主人公のアルジェンの「トレジャーハンター(盗人、盗賊)」要素ってどこから来たの?って疑問が残る。

自分でも「なんでスレイヤーズとかみたいな、剣士と魔法使いじゃないんだろう???」ってのはへっぽこ1作ってた当時も疑問にはあったんだけど、アドリブ創作野郎過ぎて、グルグルが優しすぎるからすっかり忘れ去ってて、特定出来なかった。

身内も1作目はやってくれて、「円堂×たまごろうじゃねーか!」とか「SO2のレオンじゃん」とか「魔探偵ロキのフレイじゃん」とか、かなりいい感じに、意識的にパクった、パクった後似てるなって気づくレベルの要素は元ネタ特定はしてくれたと思うんだけど、盗賊×魔法使いって割とそのままなのに、流石にグルグルは特定できなかった(身内も読んでたはずなのに)

本当灰色さんは人間ドラマミステリー書くのとイメージソング考えるのが得意なだけあって、「へっぽこアルジェンのイメージソングは晴れてハレルヤ(グルグルアニメ一期のOP)です」って、すごく的確な曲を当ててくれたんだなって……。でも私、バカだからこんな明確な解答をネットの素敵な出会いから頂いていたにも関わらず、ここでも「昔好きだった作品だから嬉しいなぁ」で流してしまった。今思えば、そこで立ち止まってじっくり考えるべきだった。

でも灰色さんも私と同じ感じで、「読んだ事はあるけど、普段忘れている部類の作品で、本当に好きなタイプの恋物語だ」なんて認識はなかったというか、私が一ヶ月以上も狂ってるの見て読み返すまで、ただのギャグマンガみたいな認識しかなかったらしいんだよね。そこがすごいというかなんというか。お互いどうも「忘れても、当時あまり理解出来なくても、何かがひっかかる作品としてグルグルがあった」っぽくて、勿論いつもじゃないかもしれないけど、本っ当に怖いくらい気が合うところありますよね……。

話を戻すと、「無意識にパクるほどグルグルが自分の中にあった」上でそのリスペクト恋物語を作るっていうなら、当然条件は同じで男女カップルのが良かったと思うんだよね、色んな意味で。

完全に無意識だった本当の元ネタが、ニケとククリだから当然なんだけど、へっぽこアルジェンってBL二次創作が元ネタなのに、BLである事の醍醐味があまりにもなさ過ぎるんだよね。

私が元々BLでもそういうのが嫌いだから、わかりやすい「男同士である」って葛藤が、兄貴分と弟分、どちらも一切ないし。いや、本当、茶番で一瞬で葛藤消えるとかでもいいから、男同士である事の葛藤を入れるべきだったわ……。茶番でも、そう描いてたら二人の恋の本気がもっとわかりやすくなったろうし。っていうか男同士はさておき、「9歳も歳が離れていて、現実で言ったら大学生と小学生の恋」ってくらいヤバイって事は、流石にファンタジー作品でも、アルジェンとアオイがお互いまず自分の中で考えるシーンを入れるべきだった。

もちろんそういう面倒な葛藤が一切ない上でBLなのがいい、って言ってくれる人達もいるかもしれないけど、むしろそう言ってくれる人達のために、「ギャグっぽくそんな葛藤はお互い殴り飛ばす」とか雑なものでもいいから、入れるべきだった。そしたら「へっぽこアルジェンとネコな弟分」はライトな面倒な要素がないBLとして、もっといい作品になれたと思う。せっかく私にしてはすごくいいキャラが作れたのに。


やっぱり私、グルグルへの挙動もなんだけど、好きなものへの執着と、大嫌いなものへの拒絶が酷過ぎる……。
本当にガキの思考だと思う。

まあ多分私そういう歳の差ものが男女とBL両方大好き過ぎて、そういうカップルにハマるたび、ロリコンショタコンって糾弾されるのが本当の本当に嫌だったんだね。だからへっぽこアルジェンとネコな弟分には、「お互い即廃棄されてもいいから、一度は二人が拾って考えるべき問題(男同士の葛藤が嫌にしても、歳の差問題)」が不自然に欠如してる。

ここが本当の本当に、私のガキっぽい部分だと思う。灰色さんを、本人が時々自分で言うような子どもっぽい人だと個人的には思わないのは、創作で、やりたくもないけど自分の作りたい事に必要だから、って書きながら嫌であろう要素を冷静に作品に組み込めるからだと思う。そういう創作物への姿勢って、やっぱり大人っぽいと思う。少なくとも私より大人っぽいと思う。

元ネタであるニケとククリだって、「自分の信じていた勇者が盗賊だったけど、あまりにニケが良い男過ぎて(読者目線でも)秒で盗賊も素敵!ってなるギャグ」が入ってるのを思うと、私のやった事ってホントに素人創作っていうか……いや実際素人なんだけど。ガキっぽ過ぎる。

創作はもちろん好きなものを入れるべきだけど、嫌いだからと即視界から排除するんじゃなくて、自分が描きたいものの為に必要かどうか?を考えてから捨てないといけないね……。普通の人は当たり前に出来ているんだろうけど、私はあまりに自分の好きなものをバカにする世界が嫌い過ぎて、出来ていなかった。本当にこの幼稚さは、キャラと良いって言ってくれた人らに申し訳ないな……。

まあ別にへっぽこシリーズは、よっぽど私と波長でも合わないと、記憶に残り続けるような名作ではないから(良いも悪いも素直に描いたいい話ではあるが)、忘れてもらって全然構わないけど、やっぱ自分自身の為に、もうちょっと出来たなーって感じ。

まあやっぱりそこまで男同士の葛藤入れるのが嫌なら、素直に妹分のが色々良かったよなって。BLってなるとどうしてもBLな時点で厳しい人がいるし、私が描いたラブストーリーも、そのままニケ王子とククリ姫が無印で3回もやったような囚われの姫を救え展開ばかりだし。

最初から妹分なら、私のメルヘンチックストーリーももう少し理解されやすかったし、手に取ってくれる人ももっといたと思うんだよね。妹分ヒロインで本気の純愛ってなったら結構供給が少ないのは自分が肌で感じてる事だし……。BL二次の怨念に囚われすぎてマジで色んな大切なものを見失い過ぎてたな。

まあ、こういう言い方って今時良くないとは思うけど、アルジェンが孤児なのを鑑みると、やっぱり妹分であるIFアオイと結婚して子ども作って幸せなお父さんになった方が、わかりやすくアルジェンの闇って晴れたと思うし、読み手にもわかりやすい話になったと思う。

アオイが妹分でも弟分でも、アルジェンが惚れる事は全く変わらないんだが、当初の予定通り弟分にするにしろ、妹分にするにしろ、なんかあと一歩踏み込めたというか……。

しっかしアルジェンとアオイ、「現実で言ったら大学生が小学生に手だすようなもん」か……。うん、普通にキモいからギャグで即粉砕でもいいから葛藤を入れるべきだったわ。

何で円堂×たまごろうにしろ、ニケとククリにしろ、1歳差(ニケククは同い年生まれだが、ククリが早生まれなので、初めて出会った時はククリが年下)なのに何故年齢差だけ地獄みたいなオリジナリティ入れたんだっけな……。

まあもうここまで来たらぶっちゃけるけど、どうせ歳の差BL創作するなら、思いっきり歳の差はなしてアオイが精通ギリギリくらいのドスケベに仕上げたろ、ゲッヘッヘみたいな感じでやっちゃった記憶がある。

本当にへっぽこアルジェンとネコな弟分には、他者が秒で忘れるようなフツーのいい話の中に、腐女子自分の業がぶち込まれ過ぎている。今でもいい作品だけど、BLに仕上げるにしろ、妹分で行くにしろ、あと一歩が惜しい。そんな感じ。
「グルグルほど、私にとって癒し効果ある作品存在するかなぁ」って考えた時、



やっぱり私にとって100点満点だったギャルゲーのパティシエなにゃんこかなぁ。って思った。

「グルグルと根底が似てる作品」って時に強烈なギャグ漫画とか、似たような亜流ドラクエパロ系作品とか出て来ないの、やっぱりそういう事なんだろうね。本当に優しいメルヘン恋愛っていうか。

パティシエなにゃんこも、昔ネットでコレみたいな作品を探してるっぽいお兄さんを見かけたし、すごい有名なギャルゲーとかみたく真っ先に名前が挙がる作品でもないけど、多分私と同じように、なんとなくうっすらと、「ここまでの癒し効果がある作品、エロゲでも案外ないな」って心の中で大事にしてる人は結構いると思うんだよね。

パティシエなにゃんこは本当にやりたいことが素直で、グルグルの優しさとメルヘン恋愛だけをエロゲに仕立て上げたような話。実はエロゲでも滅多にない、猫のミオルートなんか、そのまま絵本に直しても通じるような、優しい恋愛。冬華ルートがちょっと辛いかなってくらい。それもまあ、耐えられる程度。

エロゲしない人には通じないんだけど、エロゲって多分この世にあるエロゲの7~8割くらいはそうといっていいんじゃないかってくらい、暗い、重い恋愛ばっかなんだよね。もちろん長い小説作品で、明るい話ってのは間が持たないとかあると思うんだけど、重い話のがやっぱり多い。

抜きゲーとかバカゲー特化で明るさに特化してる作品もあるとは思うんだけど、そういう方向の楽しさ重視すら、多分そんなにエロゲといったらどんな作風か、で真っ先に挙がる印象ほどは数がないと思う。

多分ここら辺の「皆が思うより重い作品の方が多い」ってのは、起源をたどると、ギャルゲーの歴史を語るに欠かせない「エルフの同級生シリーズ」みたいな、ドラマ重視の開拓者作品達や、「泣きゲー」という言葉を一般的に広め、「萌やし泣き」って言葉、テクニックの元にもなってるらしい「key作品」とか、もっとエロゲ詳しい人なら更に細かい、正しい例が出せると思うんだけど。

とにかく今言いたいのは良くも悪くも重い~真面目な恋愛の先駆者が偉大過ぎて、エロゲ全体が重い恋愛がデフォルトになっちゃったんだろうなって。

もちろん恋物語と言うのは、綺麗でばかりはいられないものなので、エロゲに限らずどんな媒体の恋物語も多少は重くはなるんだけど、それにしてもエロゲは特に、先駆者達がヤバすぎて、その後に続く人達も「絶対暗くないと、重くないとダメだ」みたいなノリが他媒体以上に強く出来ちゃったような感じがするんだよね、体感だけど。

だから、そんな中で、ただ心が綺麗に浄化されて優しく癒された作品って、有名なエロゲーみたいには語られないし、時にはエロゲーマー達からもおとぎ話過ぎてバカにされちゃうかもしれないけど、すごく大事にしないといけない作品だと思うんだよな。

っていうかへっぽこアルジェンのアオイの「ネコ魔法使い」ってどっから来た発想だ???ってずっと思ってたけど、多分はっぴーぶりーでぃんぐでもSO2のレオンでもなく、まんまパティシエなにゃんこのミオだな。

グルグルと同じで、あまりに優しい作品って、やっぱり心が傷つかな過ぎて忘れちゃうんだなぁ……少なくとも私は。流石にパティシエなにゃんこは当時やりまくってたPS2ギャルゲの中で実はかなり異端作だから、記憶には残ってたんだけど、それでもやっぱり普段は忘れてしまうくらいの優しさなんだよな。

やっぱり良くも悪くも傷つけた方が記憶には残るんだろうな。でもグルグルも、パティシエなにゃんこも、読んでくれた人を傷つけて記憶に残る事は、決して望まなかった。
2024/07/10(水) 01:36 グルグル考察 PERMALINK COM(0)
旧グルグルアニメのサントラのジャケット絵、たった1枚でグルグルの全てを表しててすごいな。

本当、「勇者ニケの愛がどれだけ尊くて暖かいか、二人の出会いが本当に軌跡みたいにかけがえのないものなのか」が一発で読み解ける要素が巧妙に、意図的に隠された構成になっている作品なのに、メディアミックスとかで致命的な解釈違いが起きてなさそうなのがすごいっていうか。ニケとか、一番誤解されそうというか、このパッケージ絵でもやれやれ、イヤイヤ顔してる絵で描かれそうなのに、そういうことがないっていうか。っていうかメディアミックスでもニケがククリに怒らないとかそういう原作の微妙に気づきにくい点ってほぼ全部共有出来てるらしいね。なんかもう逆に怖い。

アニメ1期とか、衛藤先生の監修が入ってる企画も当然あるんだろうし、メディアミックスとなると裏で色々打ち合わせとかもあったのだろうけど、それにしたってそんなに足並みがそろうものなのか、こんなわかりにくい事をしている作品で。という気持ちになる。

グルグルよりずっと有名な作品はいっぱいあるだろうし、ウケた作品なんてもっとたくさんあると思うけど、こんなにハマりながら、私より好きな人達がいっぱいいて、愛されてるんだなぁ……って感じる作品、他にないな……。

だからやっぱり、創作をする人ならグルグルの意図って気づけるのかな……。

いきなり20年分の理解が追いついてグルグルミステリーに気づけた今も、やっぱこれ通じないと思うしなんでこんな光の狂ったことしてんの?やっぱ作者が光の勇者なの?って感じになる。やっぱりグルグルって、誰にも理解されず、売れる事もなく消えた可能性さえある危うい作品だと思うんだよな。ギャグセンスとニケの存在がイカレ過ぎてて伝説になったけど。

うーん旧アニメもやっぱいつか見てみたいなぁ……。まあ今は原作1・2と三期アニメを狂ったように見返してれば幸せだけど……。

2024/07/10(水) 00:52 グルグル考察 PERMALINK COM(0)