原作とか2とかアニメとか何度も見返すと、あのギャグ群に(初見ほどは)惑わされにくくなって、そこでやっとニケが本当にスパダリでククリの為にだけ常に動いてるような理想の勇者で白馬の王子だって事に気づくんだけど、でもニケって、普段あまりそうは思わないとこあるよね。女読者でコイツに脳やられちゃった人は結構いると思うんだけど(自己紹介)、本来の読者層男性が見てても、ニケってそこまでかゆいとかイヤミったらしい美形とかには多分あまり思わないよね。

どうしてかなーって思ったけど、

①とにかくニケのボケが笑える
②キメ台詞やカッコよさをほぼ毎回ギップルやその他ギャグに潰される(コレはギャグが落ち着いてきた2でも同じ)
③ククリにとって王子で勇者で常にそういう風には動くが、ククリの思い通りの言葉をくれるほど都合が良いわけではない、或いは大人な男ではない

ってのが大きなポイントかなーって。他にもあると思うけど、大きなポイントはこの三つかなって。①、②は読めば一発でわかる事だから流しておくとして、③が結構たどり着きにくい。

女性向けで理想体の100点の王子様が「顔もよくていつもヒロインの事助けてくれてカッコよくて、言って欲しい時甘い言葉を囁いてくれる人」だとすると、ニケは90点くらいはいけるというか、そのまんま少女漫画や乙女ゲームに出たとしてもいけるだろう。って感じで完璧に近いが、やっぱり100点は取れないし、取れるわけがないんだよね。年相応の少年だから。

ククリちゃんというか恋する乙女というのはワガママだから、これだけ態度で愛されていても、もっともっと安心させてくれる言葉が本心では欲しいと思うんだが、まあ運命の王子であろうとそこまで上手くいかんわな。って点が、絶妙に男子読者を引かせず、女子読者をいい意味でヤキモキさせる要素なんだと思う。多分。

というか原作初期なんかはニケって綺麗なお姉さん見ると「エキゾチック美人~」とか「グラマー美人~」とかサクッと褒めて来るけど、多分ククリにはそういうサラッとナンパ台詞での褒めが出ないんだよね。ギャグパートでもやらない。そこはブラッシュアップされたアニメでもそう。視聴者にはわかりやすく、ククリが綺麗だと可愛いと思って頬を染めたりする描写がOPなどでも表現されているが、ニケがナンパ男モードの時の自分をククリにぶつける事はない。アニオリでボーイミーツガール要素が強調されわかりやすくなってても、ニケと視聴者の間だけで終わる心理として表現される事がほとんどだったのは、やっぱりとても原作を良く分かった人達が作ってるんだろうね。仮になんとなくの感覚だとしても。原作より何割り増しかカッコよくなってても、「理想の王子様」とか、「英雄勇者像」とかじゃなく、ちゃんと「原作にもあるニケのカッコよさ」として描く事に成功してる。

というか多分、ニケはククリを本当に可愛い、綺麗って思った時は何も言えなくなっちゃうんだよね。ネコジタ谷で、ミグミグ族の衣装を着たククリがあまりに可愛くて、黙り込んじゃってオルゴール落っことしちゃったみたいに。綺麗なお姉さんを通りすがりに綺麗~って言うのと違って、本気だから。

今思うと、きりなしの塔の精霊に、ミグミグ族の帽子服としてあげちゃった時、結構オーバーなリアクションで驚いてたのも、ククリの家族に関わる大切なものだから、ってだけじゃなくて自分が好きな子を本当に綺麗だって思った格好だからじゃないかなって。実際きりなしの塔攻略後、ククリがいつもの服に戻った時も残念そうにしてんだよね。パンチラ度ダウン!とかギャグっぽくだけど。

パンチラ度が落ちる!もある意味正直な男の子の気持ちなんだと思うけど、多分これすらホントのホントのニケの心情を表現してない。「本当に綺麗で似合ってたから、着替えちゃったのも、帽子を精霊にあげちゃったのも、残念だなあ」って事は読者すらニケの挙動で感じ取るしかない。俯瞰視点で彼らを見れる読者すら、かなり難易度高いと思うけど……。

ネコジタ谷でククリがミグミグ族の衣装を着て踊る話は、ククリの一族に関わる、ストーリーの重要な要素としてギャグ介入が控えめ(当社比)で丁寧に描かれるとても重要な回なんだけど、ここはニケにとってもかなり重要な回でもある。勇者としての旅を面倒くさがってたニケが、「ミグミグ族の衣装を着た綺麗な可愛い女の子が、外の世界で踊れないのは悲しいから、この子が外の世界で安全に踊れるためだけにでもギリを倒してもいいな」って決意する回だから。

ここら辺、読者として読んでるとすごく泣かせる決意でいい話ではあるんだけど、見逃しやすいポイントとして、「この好意と決意はニケ(と読者)の中だけで収められてしまって、肝心のククリには伝わっていない」と言う点があると思う。

恥ずかしくて君が好きだよ、とまでは言えなくても、ここのネコジタ谷で「ククリのためなら魔王ギリくらい倒してもいいと思った決意」と、「ミグミグ族の服を着たククリを本当に綺麗だと思って見とれてしまった事」を話せていたら、アラハビカでククリちゃんはデビルククリにならずに済んだかもしれない。もちろん年相応の少年に、そこまで求めるのは酷だし意地悪だというのは承知の上で。だってニケって普段でも13歳とは思えないくらいククリに優しくて、ククリが失敗したって絶対怒ったりしなくて、そしてそれは義務などではなく本当にそうしたくてしているのに、それでもダメだなんて言われたらそりゃ無理だよ。それは承知の上で、多分そうなんだよね。

ニケのそういう年相応の欠点は、読者からすると女子からも男子からもここまでわざわざ言語化せずとも愛嬌として伝わっていると思われる要素で、だからニケは挙動が完全に女性向け王子様であるにもかかわらず、女子でも男子でも素敵、面白いやつって認識になる、かなり絶妙な配分のキャラクターなんだね。

がじぇっとのシュウくん、ウサギテレビのイービィがどうしてもニケを越えられなかった点は、作風がギャグ重視ではなく、元からの読者が戸惑ったという点だけでなく、彼らが普通に大切な女の子を綺麗、好きだよと言えてしまう思えてしまう素直な少年だったからだと思う。女子はそれはそれで素敵だと思うかもしれないが、安定感がありすぎるからニケほど応援したくなったり翻弄されることはないだろうし、男子はここまで好きな女に素直な男に対して、感情移入する事はちょっと難しいんじゃないんだろうか?

シュウくんとイービィの態度、恋愛のパートナーとしてこれほど正解の行動もないと思うんだけど、やっぱりそれを素直に素敵!って言えるほど素直な読者ってあんま数いないと思う。大半の読者はニケなんだよ。(性別を問わず)。衛藤先生の澄んだ部分って多分、ちょっと澄み過ぎててホントにそのままだと多分感情移入が難しいんだよ。作者にとっては本当にそうだとしても。だってそういう衛藤センスが好きな私でも、それを認めるのってやっぱりちょっと今でも恥ずかしい部分あるもん。恋とかじゃなく、園芸が好きだとか、ぬいぐるみが好きだとかの、趣味や嗜好に対する好きとかでも、それを素直に好きと言うって、本気であればあるほど難しくなっていくものなんだと思うしな。

なんなら「衛藤先生のホントに根っこの素」は、ニケよりはシュウくんやイービィなんじゃないかな、とすら思うんだけど、そのあまりに純で素直な部分は、彼らのお姫様には刺さったけど、ちょっと読者を悶絶させたり面白がらせるには真面目で安定感があり過ぎたんだと思う。ククリちゃんにはもちろん、読者にすら本当の本当に思っている事を直球では教えないほどの究極の年相応のウブ、そこがニケの人気の秘訣なんだろう。無印後半~2にかけてニケにも当然成長は見えるんだが、ここのウブに関しては多分あまり変わってないと思う。「女の子にはやさしくしてあげなきゃ キミは単に接し方がわからないのだよ」、アラハビカのデリダのニケへのこの言葉は、かなりニケの根底を突いた言葉なんだろうね。ギャグのアホさや勇者としてのカッコよさを全部取っちゃったニケは、わかりやすい酷い意地悪こそしないかもしれないけど、好きな子に好きとすら言えない年相応の少年でしかない。

ガンガンオンラインのグルグル2コメント欄で「ニケの心理描写に潜っていく時、その心理が本当に綺麗」みたいなコメント見たと思うんだけど、コレ書きこんだ人はかなりニケの事よくわかってるんじゃないかな……。澄んだ心を持つ、読者にすら心理をなかなか見せてくれない純でウブな少年がニケの本当の素なんだよ、多分。

ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとニケとククリの「すげぇ仲が良いのに、なんか噛み合わないな……」と感じていた部分は、多分ここら辺だろうな……。しかし本当ニケって萌えの塊みたいな男だな……もう存在と挙動の全てが好き過ぎるわ……。意地悪な男ってわけじゃないからすげぇわかりにくいし、例によって20年くらい言語化するのに時間がかかったぞ……。他にも「実はわかりやすいククリよりニケのがずっとククリに惚れこんでるんじゃないか?」的コメントもあったと思うんだが、この書きこみの人もかなり核心そのものに踏み込んでると思う。ちゃんと私よりも先に、ニケの核心に触れた人はいるんだな……。まあちゃんとそのまま描いてはあるんだ、あるんだが……何故かすごくわかりにくいんだな。

そして本当に衛藤センスってなにも真似出来ねえわ、猿真似すら無理。

あともう一つだけいいか?

いくら衛藤先生がミステリー好きっつったって、恋愛ヒーローの心理まで解答なしのミステリー仕立てにする事ねえんじゃねえですかね!!!!!!!!!!!!

これ……本当に衛藤先生の担当編集さんは全部わかってて20年担当してるの……?(n回目)。わかってるんだろうな……ゆっくり読むとまた違った面白さがある、うん、ある……。
2024/07/04(木) 23:22 作品感想 PERMALINK COM(0)
ここがオレのTwitter(X)と化しちゃったので、素直に拍手返信カテゴリー作りましたとさ。(荒ぶると返信記事が流れる……)追記も長い。
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2024/07/04(木) 20:56 拍手返信 PERMALINK COM(0)
2のズックニィでククリと二人きりになっちゃった時、お友達召喚で合流しようって時、ニケが返答する前に変な間を入れたコマがあるんだよな……。やっぱコレは、ニケも二人きりになりたかったのでは?????

呪いの竜モードでククリを抱えて飛んで行ったのも、ククリが見た夢の中の竜ニケが「ククリ好きだ!だからお姫様抱っこもするんだよ!」って言ったのも、やっぱりニケの本心や願望が出ちゃったのでは???その後ニケも「なんかさー…だれもいないとヘンな感じだな」とか言ってるし。

なんでニケって何考えてるのかわからん感じするんだろうな……。基本ククリには優しい勇者様で、時々深くニケの内面に潜って語られる心理も「ククリが大切な女の子」って事ばかりなんだけど。仲良いし大切な子には違いないのに、のれんに腕押し、糠に釘みたいな感じというか……。

物語の大筋はわかりやすく描かれてるのに、ニケがククリを大切だと思ってる事も見てればわかるのに、ニケの細かい心理を追っていくと、すごく正直なようで、肝心要のところが語られてないような感じするんだよな……。これは私じゃなくて、他の人の感想を見ても評価は高いのに「ニケが何を考えてるのかわからない」ってちょくちょく言われてるんだよな……。

無印最終決戦でのククリへの告白の返事が、「ニケって呼んでほしい」なのも、どういう心理で言ったのかがイマイチわからない。いやもう勇者じゃないから、とは言ってるんだけど……。なんか上手く言えないけど、ここも何かが抜けてるような……。

アラハビカだって、あそこで結ばれないにしても、どうしてニケはあの告白舞台劇を夢のまましまってしまったのか、そこら辺は語られてない。「ククリが何も覚えてないから、アレはノーカン!」とか「恥ずかしいから夢として誤魔化そう!」とかなんでもいいんだが、食い下がらなかった理由が語られてればいいんだが、そこら辺も考えて見ると全然わからない……。

アニメアラハビカは色々削られてるけど、原作だとククリのハートの気持ちをジュジュが通訳する時、冗談で「ニケ君の事を考える部分はもういらない」って言ったらニケが本気にして泣いてるシーンあるんだよね(ギャグチックな流れだけど)。

もう一つ、ククリの事をもっと知りたい!ってなってデリダに色々ミグミグ族とグルグルの事を訊いた時、デリダが「グルグルに惹かれながらお前は怖いものだと思い深く関わろうとはしなかった、ハートに触れてもらえないこと、人はそれを失恋と呼ぶ!」とかなんとか言った時「しつれん…」って何故かニケがショック受けてんだよね。ここもやっぱり「ククリ側が失恋したと思っているっぽい」って事に焦っているというよりは、ニケが自分側に当てはめて、自分が失恋したみたいなショック受けてるんじゃないかな?って。

まあとにかく、ニケも別にククリと失恋したいわけではないはずなんだよね。だから恥ずかしくてもハートを持ってもう一度迎えに来て、ほっぺにチューしたわけで。まあそれだけで十分アラハビカ編はボーイミーツガールの総決算として美しい話なんだけど、それは物語の答えで、ニケ自身の細かい心理に潜っていないような、手ごたえのなさがどこかにあるというか……。「ククリが夢だと思ってるなら、夢のままにしておこう」とか何か一言あればいいのに、そういうニケ自身の、アラハビカ恋物語の結論が実は語られていない感じ……。

わからないな~って思いつつ、似た系統の魔王学校に俺だけ勇者のヒロとリュウナにもドハマりしたのを考えると、私は「告白したのに何故か何も進展しないカップル(100%どころか1000%この二人の恋愛を語る話なのに)」みたいなカップルが好きなんだろうな……。っていうかここら辺もBLゲーで無意識に模倣してる事に今気づいた……。2でほっぺにチューして弟分側が告白してるのに、3冒頭でくっついてない。

告白したのに、何故かくっつかない、かなり無意識の性癖と見た。自分の創作の事ですよ???いや、私マジで創作ってアドリブでしか作れないからゲームで台詞組み込んだり、小説本文書いてみるまで細部がよくわからない事が多いんだよね……。いや流石に何で告白したのにくっついてないかは3本編で描いてあるけど……。(まあ、正直クソくだらん茶番な理由ではあると思うが)。

いやしかしヒロ×リュウナとニケ×ククリ本当よく似てるよ……同じ勇者×守られ、さらわれ姫属性アリ女子のカップルだし。作中で何度も告白してもくっつかないし、それが何故なのかはさっぱり語られないし、ヒロイン嫉妬で闇落ちするし……(そして双方それが、恋の一つの区切りになってるし)。歳も大体一緒だし。関係性としては進んでいくんだけど、くっつかない。なんだろうね、告白してもそれは「主人公くんだーいすき!」「俺もだよヒロインちゃん!」って言い合ってる幼児カップルというか……。

なんだろう、一緒にいるのが楽しくて当たり前で、好意を伝えるのも特別な事よりは日常の延長で、そこからずっと進まない、進むって発想がないほど幼いというか……。

魔王学校のヒロは、彼の一人称で語られる話だから、謎にくっつかなかろうが彼の心理はわかりやすいんだけど、ニケは本当にわからんのだよな……。ある程度狙ってなのかそうでないのか、行動や言葉で素直に語られているはずが、やっぱり肝心な何かが欠如している感覚。

っていうかKindleの魔王学校謎に安くなってる!? どうしよう、買い戻してしまおうか……。でももうちょっと流石に金がもうない……。このラノベこんなに好きな人、マジでこの世で私だけでは……?でも好きなんだよなぁ、コレ。やっぱ買っちゃうか……。

夏緑先生と衛藤先生ってちょっぴり魂似てるかもしれないなぁ、クソ下らんギャグ、或いはメルヘンに、作者本気のラブ乗っけるところが。夏緑先生のがまっすぐ素直だと思うけど。等身大の男の子描くのが上手い点も似てる。

まあいつものド偏見だが、魂似てると思うけど夏緑先生は恋のパートになると今までのくだらねー話はどこへやら、本当に綺麗に素直に描くのに対し、衛藤先生は少なくとも代表作のグルグルだと、照れ隠しが酷い。(ギャグが滑らないから、不問にされちゃうが)。もろに男女差が出てる感じする。照れ屋な兄ちゃんと大人の姉さんっていうかな。もはや意固地とすら言えるような、グルグルというコンテンツの10年20年、30年かけてやっと照れが消えて穏やかなジュヴナイルっぽい恋模様になった(当社比)(しかしそこまで時間かけても未だくっつかない!)作風の変遷、いかにも男性作家って感じ(いつもの偏見2)(まあそういう面倒くさい作家が好きになりがちなんだけど、男性作家は)

がじぇっとみたいなのが描けるなら、正統派ジュヴナイル恋愛が正攻法で全く描けないほどの照れ屋ではないと思うんだけど、なんなんだろう、グルグルだけ恥ずかしそう&妙に難解な部分があるの。まあがじぇっとよりグルグルのが作者が正気でいられんほど恥ずかしいってのはわからんでもないが……。
2024/07/04(木) 19:28 作品感想 PERMALINK COM(0)
グルグル2でニケが竜になる呪いにかかった時しばらく皆が隠そうとしてたり、竜になるたび皆が慌てたり、バレたらさっさと逃げようとしたりするのがなんでかイマイチピンときてなかったが、そうか、普通にあの世界にも魔物差別あるんだったわ。

2でレイドの住んでた魔族の街を差別で街ごと潰された(放棄された後なのか、無人だったらしいが)とかあったのにわかんなかった。あんまりにも文脈だけで進んで説明やおさらいがないから……。優しい童話的なオチにはなるが、ククリちゃんだってミグミグ族差別の街で、ちょっと不穏な体験はしたもんな……。

ニケ本人が呪われたの気にしてないって言ったのは本心だろうけど、やっぱりちょっとは気にしてたよね。魔王ちゃんに強制里帰りさせられた時も、多分父ちゃんが何か隠してるな!って言わなかったら呪われてる事言う気なかったんじゃないか?別にわかりやすい感動のシーンはないけど、両親がいつも通りのアホな対応で気にしなかったのは結構ニケもホッとしたんじゃないかな?

良いことでもあるが、その辺わからなくてもなんとなくギャグとか流れを楽しめるからな……。衛藤先生、よくわからんものを描きたい人だけあって、前提として漫画が上手いんだよな。絵柄の変動はすごいけど読みづらく感じたことないし。別に↑の意味なんか全部わからなくてもなんとなくで楽しいし。村上春樹もそうなんだが、よくわからんものを描きたくて描いてる人らは、好き嫌いはさておき技術がある。

え、でもコレ、担当編集さんとか、このわかりにくさ理解してるよな?してないわけないな、担当編集さんも衛藤先生も、多分わかりにくさは承知の上で、なんとなくで楽しんでもらえると思ってるから(実際そう)コレで出してるんだな……。そうじゃなかったら「ゆっくり読むとまた違う面白さがある」なんて言葉は出ないもんな……。名作の裏に名編集ありだよね、私の好きな花守の竜の叙情詩も、作者の淡路先生が前作と似たようなもん出すの悩んでたのを当時の編集さんが後押ししてくれたから世に生まれてくれたしさ。

うーん、でも、グルグルがどうして3回もアニメ化してもイマイチマイナーな感じがするのかわかった気がするな……。衛藤先生の、嫌なものに不用意に触れない、1からずっと続く優しさが私はとても好きだけど、コレはちょっと、わかる人にしかわからない良さだと思うわ……。だって私も楽しいからサラサラ5周しちゃって、ようやくピンと来たレベルだし。2になってから殺すみたいな言葉も不用意に使わず言い換えるようになったよね、そういうとこだぞ……。(無印から面白半分には使ってなかったと思うけど……)

むしろこんなわかる人にしかわからない話でよく3回もアニメ化されたよな。よっぽど衛藤先生ごと愛されていたのだな……。実際アニメ三作目もスタッフの愛情すごいけど……。

そして自分がなんでこんな一ヶ月以上もこの作品に懐いているのか解ってしまったな……。本当の優しさは押し付けがましくない……。

っていうかニケがククリちゃんのスパダリなのも、多分「12年間も閉じ込められてた女の子にコレ以上の悲劇はいらん」って事なんだろうし……。本当に運命の光の勇者として配置されてんやろなー。作者の中でそうと決まりきってい過ぎるから、変な浮気フラグとか即へし折れるんか?

衛藤先生、物語の本当に必要最低限以上の鬱要素、マジで描きたくないんやな……コレもう衛藤先生がニケそのものだろ。
2024/07/04(木) 16:36 作品感想 PERMALINK COM(0)
ちょっと前の久米田先生へのいちゃもん掘り下げると、なんつーか女の子が「(好きな人の)お嫁さん」をある種の職業、肩書きとして夢を見るのって今どきじゃ古いとは思うがそういう共通認識として納得出来るじゃん。

でも男で「将来の夢は(好きな人の)旦那さん」ってタイプ、多分ステレオタイプの二次元テンプレとしてもお嫁さんになりたい女の子と違って確立されてないじゃん、明らかに。二次元でもレアじゃん。

んでまあ実際、ぶっちゃけ男で旦那はやっぱちょっとドリームがないと思うんだよな。責任がデケーっつーか。「彼女欲しい男」とか「とにかくフワッとモテたい男」ならまだしも。所帯を持つっつーか責任を持つっつーか。そういう感覚とか大黒柱なんて感覚がイマドキ古いとしても、とにかく男だとちょっと二次元ドリームとしても成立しない感覚だと思うんだよな。二次元ドリーム系の漫画とか小説は男性向けだけどな。

今どきツイッター(X)で言ったら炎上しそうな事を言って何がしたいかっつーと、そういう普通ならちょっと足踏みする、楽しいドリームにならんような感覚を押しのけて、「すべての過程をすっ飛ばして旦那(許嫁)」を男でメインで描く人って多分そういう重い人しかいないと思うんだよ。責任持つのが当たり前と思ってそうっつーか。かつてプロレスしてた赤松センセーのラブひなだって、アレは「トーダイ(東大)行ったら結婚しよーね」ってワンクッションがあるじゃん。それもないじゃん。女子が一方的に選んだのに嫌がることもなくなんだかんだ旦那ショタが受け入れてんじゃん。そういう人じゃないとちょっと描けんと思う。

かってに改蔵もそもそも羽美ちゃんと改蔵で手作りの結婚届とか作ってたが、こういうの多分無自覚で入れて嫌だー!!とか皮肉方向のギャグに行かない男性作家、だいぶ重症そう。

衛藤先生もウサギテレビの主人公で「こんな子どものうちから許嫁ヒロインと結婚する事に対して一切疑問を抱かない王子主人公」とかニケよりわかりやすい旦那観を提示しちゃってるけど。っていうかグルグル2第一話も「お付き合い」じゃなくて「結婚はまだ早い」だから、実際のメインカップルの初々しさとは裏腹に、なんか過程すっ飛んでてよく考えるとおかしいわ(褒めてる)。こっちは絶妙なバランスでジュヴナイルの甘酸っぱい恋愛で留め続けてるが。

前に付き合いたての彼女に特注ペアリングだかなんか贈ろうとして「重っ!」ってドン引きされて即別れた実話?を聞いた記憶があるが、アレも需要と供給の噛み合わなさが悲しい。多分その彼氏気が合うなら素敵だと思うんだが……一方で即わかるほど気が合わない人とうっかり進まないためにお付き合い期間はあるのだなと強く感じる話とも思うし、重いって即別れるのもメチャクチャわかる……。
2024/07/04(木) 12:00 作品感想 PERMALINK COM(0)
グルグル無印、アラハビカ編クライマックス、ギップルのバカとメガトン級照れ屋作者による直後のクッサ!!自虐とキタキタおやじの挙動による爆笑ギャグのせいで今までちゃんと頭に入ってなかったんだけど。

「ニケ君と冒険したり、ニケ君のことを考えたり悩んだり、傷つくかもしれないけれどドキドキするハート。もしそのハートをもういちどこのジミナ村まで持ってきてくれたら、そのときあなたは迎えに来てくれた「勇者様」」です。ハートをありがとう」

ってくだり。コレに対してニケが、ハートを持ってほっぺにチューする事で、親に無理矢理出された旅による成り行き勇者から、ニケの意志で明確にククリちゃんの勇者になれるって話なんだな。多分な。チュー直前までニケまで照れ隠しでボケて正月のお供えものみたいにして渡そうとしたり、ハートを食べさせるネズミ妖怪になるから、どうしてもかく乱されて言語化にマジで20年もかかっちまった。もちろんなんとなく感覚でわかる作品だとは思うけどね。子どもの頃の私も、なんとなくはわかってたと思うけどね。

作品への愛しさと腹立ちで心がグチャグチャだから、ガンガンオンラインの各話コメント欄にこの解読結果書きこんで、超ド級照れ屋作者が念入りに入れたかく乱効果をちょっとでもいいから潰してやろうかな……。(自分で言ってて、もう嫌がらせなのか熱心な信者なのかがわからない)Amazonレビューのがいい?それともみんなコレちゃんとわかってた???私が衛藤ヒロユキの芸人魔法にかく乱され過ぎなだけ?マジで何度読んでも、バカな事して次のコマで火あぶりにされてるキタキタおやじと「ちゅう。寝ている人にハートを食べさせる妖怪」の耐性がつかなくて、こんなまっすぐな本筋を上手く文章に起こせなかったんだけど……。

自分で作り上げた、こんなに澄みきった芸術を、ここまでネタにしちゃうって抵抗ないのかなぁ?いやむしろ、そのままだと恥ずかしいから本人の意志でやったんだろうけどさ……。その色んな意味での全力っぷりがウケたのもわかるんだけどさ……。

いやでもホント衛藤ヒロユキってどんなに憧れてもちょっと真似が無理だな……。私がやっても寒いだけだコレは。というかそもそも、下手でも一生懸命作ったもんをこんなんやりたかない、クサいって笑われた方がマシ。なんなら作者本人も今は色んな意味でここまでの事は出来ないと思うし……。っていうかしないでほしいし。

担当編集さんが言ってる「グルグルはゆっくり読むと、また違った面白さが出てくると思います」ってやっぱりこういう事なのかな……。多分方向性間違ってないよね?っていうかこの言葉も、担当本人の実感の伴った言葉っぽいなあ……。多分担当編集すら、グルグルの根っこの意図に気づくの一回読む程度じゃ無理だったんじゃねーの??

自分も何回読んでも笑っちゃってるんだけど、これを直視するのは作者も読者も恥ずかしくて難しいとは思うんだけど。自分の好きなものくらいは素直に認められる程度には大人になってから読むと、どうしても心のどっかで「こんな綺麗なものを茶化しちゃうのもったいないな」って気持ちが出て来ちゃうな……。

しかし衛藤著作ならがじぇっとのが恥ずかしいって思ってたけど、よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく読むと、恥ずかしさもグルグルのが上だな……。グルグルヒロイックファンタジーセンスって、ドラクエ4とかですらなく「ドラクエ1」だし……。これも最近やっと気づいたんだけどさ、コパール王国、アラハビカ、花の国と同じ作品内でマジで何回囚われの姫の救出劇やってんの?????いやどの話も大好きだけどさ……。少女漫画の冒険ものだったとしてもそんなにやるか?????ってレベルじゃん、もう芸人のフリしてないで認めろよ色々……。

逆にグルグル2はニケが攫われたりいなくなることが多いのは、多分1と意図的に反対にしてんだろうな。それと合わせたニケの弱体化も、よくあるRPGあるあるじゃなくて、2はニケ側が守るだけじゃなく、ククリちゃんも強くならなきゃいけないって恋の試練なんだろう、多分。言うてニケって弱体化も全然感じないくらいかなり頼りになるんだけど……そこがまたわかりにくいといえばわかりにくいのか? でもニケがちょっと弱くなったところでイケメンなのは世界の真理だから……。

しかしなんでギャグで茶化されるの死ぬほど嫌いな、冗談の通じないオタクなのに(それで本と作者ごと捨てた見捨てたことが何度もある)グルグルとハーメルンは平気なのか……。面白いは正義なんやな。絶対真似したくないけどな。
2024/07/04(木) 05:34 作品感想 PERMALINK COM(0)